熱容量(蓄熱性)
鍋やフライパンがどのように熱を受けるのかは熱伝導性に加えて熱容量も重要です。
熱伝導性が良い事で早く温まり、鍋の底面全体が均一の温度になります。
食材を加えた状態で適温を持続させる事も加熱調理には非常に重要で、これには熱容量がかかわってきます。熱容量とは熱をどの程度ため込んでいるかを示すもので冷めにくさとイコールです。これは物性表の比熱が基になります(比熱×重さ)。重さは板の厚さと関連します。
板が厚いものほど重くなり熱容量は大きくなるのです。
そして板厚に加えて金属の比重も非常に重要です。
例えばアルミニウムは質量が非常に小さいので同じ体積と板厚で重量を比較すると他の金属より非常に軽くなり、比熱が大きくても、個体が持つ熱容量としては小さくなります。
仮に同じ体積、同じ板厚の鍋の場合はステンレス製は約3倍近く重くなるため比熱値が約半分でも個体の持つ熱容量としては1.5倍程度になり、1.5倍冷めにくいと言えます。
このためステンレスは一般的に保温性があり、冷めにくいといわれ、アルミは熱伝導は良いが冷めやすいといわれるのです。
そして早く温まるとは、早く冷める事、冷たい食材の影響を受け鍋の表面温度が下がりやすいという事でもあります。
また、天ぷらなどの揚げ物の場合も、熱容量の大きい鍋を使う事で、ある程度油の量が少なくても、油の温度が下がりにくく、効果的です。
同じ事は、スパゲティなどの麺類をゆでる時も、湯の量を多くする事で、熱容量を大きくしますが、鍋の熱容量が大きければ湯の量も少なくできます。鍋料理などは、熱容量の大きい鍋を使う事で、食材の補充による温度の低下を最小限にできるわけです。